イバトコ|地域メディア運営を属人化させない仕組みづくり
茨城県特化の地域メディア「イバトコ」を実証フィールドに、一次情報の価値を残しながら、公開・品質管理・改善を仕組み化する設計を公開します。
- 人にしかできない一次情報の収集と、自動化できる工程を分離
- 公開前の品質チェックを自動化
- 変更履歴を残し、改善を検証できる状態を整備
- AIは記事の代筆ではなく、整理・検討・実装の補助に限定
イバトコは、シクミベースが自ら運営する茨城県特化の地域メディアです。
このプロジェクトの目的は、地域情報を発信することだけではありません。人にしか作れない一次情報の価値を残しながら、運営そのものをどこまで再現可能な仕組みにできるかを実地で検証しています。
クライアントワークではないため、完成形だけではなく、判断・失敗・改善も含めて公開します。
課題:価値のある仕事と、繰り返し作業が混ざっていた
地域メディアでは、現地へ行く、話を聞く、写真を撮る、自分の目で確かめる、といった工程が価値の源泉です。一方で、公開前の確認、メタ情報、画像処理、変更履歴の記録などは、毎回人が注意して行うほど属人化しやすくなります。
そこで最初に「何のツールを使うか」ではなく、業務を二つに分けました。
- 人が担う領域:取材、撮影、一次情報の判断、最終編集
- 仕組みに寄せる領域:公開前チェック、画像・メタ情報の処理、変更履歴、ビルド・配信
重要なのは、すべてを自動化することではありません。人が価値を出す場所を明確にし、それ以外で人の時間と注意力を消費しないことです。
実装1:公開品質を「気をつける」から「通らないと進めない」へ
公開前には、機械で判定できる項目を自動確認する構成にしています。
- OGP画像が生成されているか
- 必要なメタ情報があるか
- リンクやビルドに問題がないか
- 公開処理が正常に完了するか
人がチェックリストを覚えるのではなく、基準を満たさなければ工程が止まる状態を作ります。
これはWeb開発固有の話ではありません。見積提出、顧客対応、SNS公開、請求、採用などでも、ミスを注意力で防ぐのではなく、工程そのものに基準を組み込むという考え方は共通します。
実装2:改善を「感覚」ではなく履歴から検証できるようにする
コンテンツやSEOは、変更と結果の間に時間差があります。後から結果だけを見ても、何を変えたのか残っていなければ再現できません。
イバトコでは記事や設定をGitで管理し、変更履歴を残しています。目的はGitを使うことではなく、変更→結果→次の判断をつなげられる状態を作ることです。
企業の業務改善でも同じで、「改善したつもり」で終わらせず、誰が何を変え、どの指標がどう変わったかを追える設計が必要です。
実装3:AIは判断を奪うのではなく、判断前の作業を減らす
イバトコでは、現地に行っていないAIに一次情報を作らせることを前提にしていません。AIを使うのは、主に人が判断する前後の補助工程です。
- 取材メモの整理・構造化
- 記事構成の検討
- 抜けている観点の洗い出し
- 見出しや説明文の案出し
- コードや設定の実装補助
AI導入の目的を「AIを使うこと」にすると、業務が増えることがあります。先に業務フローを整理し、どの工程を速くするのか、どの判断は人に残すのかを決める方が重要です。
現在も検証中のこと
イバトコは完成した成功事例ではなく、継続中の実証プロジェクトです。そのため、確認できていない効果や成果数値は掲載しません。
今後は、検索流入だけではなく、更新に必要な工数、公開までのリードタイム、品質上の手戻り、問い合わせや地域事業者との接点などを見ながら、仕組みそのものを改善していきます。
この事例から見えている設計原則
現時点で再利用できるのは、個別のツールではなく次の考え方です。
- 人にしかできない仕事と、仕組みに任せる仕事を分ける。
- 品質を注意力ではなく工程で担保する。
- 変更履歴を残し、改善を再現可能にする。
- AIは目的ではなく、業務フローの一部として配置する。
シクミベースでは、Web・SNS・AIなどの導入ありきではなく、まず事業のどこが属人化し、どこで時間・機会・情報が失われているかを整理します。そのうえで必要な手段だけを組み込みます。
自社では、どこから仕組み化すべきか
「社長しか判断できない」「担当者が変わると止まる」「毎回同じ確認を人がしている」といった状態がある場合、ツール導入より先に業務の分解が必要です。